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いろいろな意味でホッとした店 東京・王子「串乃介」

 森川 滋之
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悪いときには悪いことが続くもので、4軒連続でご縁がなかった。今月の掲載をもうあきらめかけたときに妻が見つけてくれたのが、JR王子駅北口から徒歩1分の串乃介だった。この店との縁を取り持つという天の配剤だったのだろうか。連載のコンセプトど真ん中の店を見つけることができた。

今までもいろいろあった。掲載拒否も何回かあった。勇んで入ったのに、これは載せられないという店も何軒かあった。しかし、1回分の記事の取材でそんなことが連続して起こったことはなかった。

ところが今回は4回も連続したのである。

1軒目は、ちょっとしたトラブルでダメになった。塩とタレを間違えて焼いてきたのだが、それを指摘したあとのお店の対応が最悪。それでも料理はとてもおいしかったので、掲載を考えたのだが、「塩とタレなんか変わらないのに」という店員のひと言が耳に入ってきたので、断念した。

2軒目は、新宿のはずれにある、隠れ家風の店だった。予約の電話ではとても愛想のいい感じの店長だったのだが、きっと僕の顔が気に入らなかったのだろう。話しかけても適当に相づちの「塩対応」。おまけにやきとりの塩加減も安定しない。まさに「塩害」だ。とはいえ特徴もあったので一応掲載許可はいただいたのだが、その後に「接客へのこだわりがあったら教えてください」と聞いたら、「ありませんね」と言われて、これも断念。

次は、お世話になっている方に紹介をお願いした。ありがたいことにすぐに問い合わせてくださったのだが、取材を断られたとのこと。「年寄りが1人でやっている店なので、これ以上知らないお客を増やしたくない」のだそうだ。もっともな理由だし、無理も言えない。

考えた挙げ句、前回の取材帰りに紹介者と飲んだ王子の店がなかなか良かったので、そこを取材させてもらうことにした。休日だったので、妻を伴って行く。

そうしたら、その店が定休日でもないのに休み。開店時間前には確かに人がいたし、2階の住居のあかりも点いている。なのに何回電話しても誰も出ない。

潮時だな、と正直思った。何か自分に欠けているところがあるのだろう。思い当たることもないわけではない。いずれにしろ、天は「もうやきとりの取材はやめろ」と言っているのだ――。

雨でびしょぬれの野良犬のように、へこたれてしまった。その様子を見かねた妻がスマホで検索してくれて、「昼から空いているというだけのお店かもしれないけれど良さそうだよ、行ってみようよ」と言う。そこがダメなら、あきらめよう。かなり悲痛な覚悟で訪れたのが、今回紹介する串乃介である。

> カウンターに座った瞬間ホッとした
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