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災害時に人が集うやきとり屋を妄想 東京・目黒「とり薪」

 森川 滋之
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東京・目黒駅から徒歩3分という絶好の立地の中、40年の歴史が醸し出す面構えの店が突如現れる。営業時間は午後3時から翌朝4時までで年中無休だ。「しろ」と「煮込み」がお薦めで、「ふれあい」を感じる店内。多忙につき、話は少ししか伺えなかったが、防災の日に、ここで震災とやきとり屋ということについて思いを巡らすこととなった。

たまたま縁がない土地がある。その近辺にはよく行くのに、そこにはなかなか行く機会がないという真空スポットのような土地だ。僕の場合は、それが目黒だった。仕事関係の人と五反田で飲むことは多い。また、友人と恵比寿で飲むこともたまにある。だが、その間にある目黒で飲んだことがなかったのだ。

行ってみることにした。ネットで調べると、いかにも長く続いているという面構えの店があった。縄のれんの「すがれた」感じが目を引いた。これは僕を誘っている......。「とり薪」という店だ。

目黒駅を降りて3分かかるかかからないかというところに、とり薪はある。アーケードではなく歩道沿いの商店街にある店だ。すぐに見つからなかった。土地鑑がないのもあるが、周りの建物に溶け込んでいたからだ。その付近は、駅から近いにもかかわらず全体がすがれた感じなのだ。きっといい店が多いのだろう。この歳まで訪れなかったことを少し後悔した。

ドリンクが出てくるのが早い

カウンターに座り、ホッピーセットを頼む。

「もう何年やっているんですか?」と聞くと、「40年ですね」と店長らしき店員さんが答えてくれた。それにしては若い。聞けば、オーナーは別にいるが、今は店には立たず、経営に専念しているのだそうだ。

店員は2人。1人は焼き方専門で、もう1人はそれ以外を全て取り仕切っている。ざっと数えてみたら、満席だと24人ぐらい入れるようだ。詰めれば30人ぐらいか。たまたま雨だったせいか、入りは6、7割ぐらいだったが、注文はひっきりなしに入る。しかも、営業時間は15時から翌朝4時。店員2人は、僕がいた間は一切座ろうとしなかった。少なくともお客がいる間はそうするのだろう。

2人はとても慣れていて、見た感じは忙しく見えない。仕事がとても早いのだ。頼んだホッピーとお通しの生野菜がすぐに出てきた。ただ、営業中のインタビューは勘弁してほしいと言う。察するに余りある。時々必要なことだけ伺うことにした。

グルメサイトのレビューなどを見ると、これを愛想が悪いと捉える人も世の中にはいるようだ。そう思うのは個人の勝手であり、僕がとやかく言うことではない。ただ、僕の考えを言わせてもらうと、接客にもいろいろあると思うのだ。

僕の場合は、頼んだ酒がすぐに出てくるかどうかが最重要のポイントである。その意味で、とり薪は最高だった。でも、それができていなくてもほかにプラスがあれば僕は買う(前々回に紹介した「大好き」がそうだ)。完璧な飲み屋は少ない。何万円も出すのなら別だが、せいぜい3000~4000円ぐらいの店なのだ。減点主義でなく加点主義でないと、自分が損をすると思うのである。

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