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やきとん屋の良いところを集めたような店 東京・世田谷区経堂「あかり」

 森川 滋之
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「やきとん あかり」は、小田急線経堂駅から徒歩3、4分。昨年の8月に開店したばかりだが、経堂に長く住む紹介者が応援する店である。店主の池田さんはとても研究熱心で、やきとん屋にあってほしいなと思う品はだいたいそろっている。初見の料理もあった。だが、メニューが多いから取り上げたのではない。20軒以上回って、ようやく自分が紹介したいのはどういうお店なのかに思い至った。

このところスランプが続いていた。足を運んだが載せられないお店が何軒かあったのだ。

前々回の「まさみ」の前に訪れた店は、接客も悪いし調理もひどかったので仕方がない。ところが、この取材の前に訪れた店(Tとしておく)は、料理は絶品だし、長年続く作り物でない「昭和」感を醸し出している。口コミサイトでも多くの人に絶賛されている。

しかも、Tは口コミサイトを見て行ったのではない。ある信頼のおける方が「おいしいから行ってごらんよ」と推薦してくれたのだ。確かにおいしい。でも、何かが違う。それは、Tが悪いのではなく、この連載の趣旨と合わないだけなのだが。では、その趣旨とは何かと聞かれるとうまく答えられず、もどかしい思いを抱いていた。

しかし今回の取材で、言語化できないでいた趣旨----自分はどんなお店を取材したいのか----に1つの答えが出た。その答えは、最後に。

「赤星」とポテサラが期待を高める

今回は、経堂にお住まいの湯淺謙さんのご紹介である(本人のご希望で写真撮影はなし)。70歳前後とお見受けしたのだが、83歳だと言う。現役の飲み手であり、この日も3合以上の日本酒をたしなんでおられた。湯淺さんの経歴も紹介したいぐらい面白いが割愛する。

メニューを見ると、サッポロの「赤星」(通称)がある。サッポロと言えば「生」であり、黒ラベルやエビスが有名だが、「赤星」はラガービールである。一部のビール好きの間では大人気なのだが置いてある店が少ない。これはうれしい。当然注文する。

一部のビール好きには大人気の「赤星」

一品料理の欄には、ポテトサラダもマカロニサラダもある。どちらも食べたいのだが、他にも食べてみたいものだらけだ。ポテトサラダだけを頼むことにした。

注文すると店主が言う。「やきとんとかにうるさい人って、必ずポテサラ頼みますよね。何だか試されてるようで怖いんですよね」と。僕はただマヨラーだから好きなだけであり、そんな緊張をお店側に与えているとは思いもしなかった。だが、確かにポテサラがうまい店は他の料理もうまい。逆も成り立つ、と思う。

あかりのポテサラはどうだったか? ポテサラにも様々なバリエーションがある。あかりのは、トロトロになるまでゆでるタイプだ。これが意外と難しい。

ジャガイモから水分がきちっと飛ばないと、ポテサラに独特の臭みが付いてしまう。この臭みがまったくない。トロトロでありながら余分な水分が残っていないのである。

トロトロだが余分な水分が残っていないポテサラ

> 東京でやきとんを知って
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