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ニューイヤーは、音楽の都ウィーンで 古典派音楽とハプスブルク家の栄華の二重奏

 小野 正惠
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オーストリアの首都ウィーンには、2001年に世界遺産に登録された「ウィーンの歴史地区」と、1996年登録の「シェーンブルン宮殿と庭園群」の2つの世界遺産がある。公園が多い町なだけに、豊かな緑の中、色とりどりの花が咲き誇る季節もいいが、この町の醍醐味を実感できるのは、町中が広大なパーティー会場と化す年末年始だろう。中世と近世に建てられた壮麗な世界遺産の建造物の中で、外で、クラシックが、オペラが、ワルツが鳴り響くというのだから。2回にわたり、ウィーンの世界遺産を紹介。初回は、歴史地区の中心部。2回目は、シェーンブルン宮殿ほか、王宮にスポットを当てる。(冒頭写真:photolibrary)

野外建築展示場、リングシュトラーセを歩く

 寛容で平穏、人に優しい町。それでいてどこまでもアーティスティック。世界遺産に登録された「ウィーンの歴史地区」は、長い歴史を持ちながら、異邦人に違和感も緊張感も与えない不思議な町だ。市内の地下鉄、バス、市電を24~72時間乗り放題のフリーパス「ウィーンカード」さえ手に入れれば、歴史地区は故郷の町に早変わり。それほど親しみやすい町なのだ。

 そのわけは、人々が優しいだけでなく、町の造りがとりわけシンプルだからだろう。しかも、そこにこそ歴史がある。12世紀、中世のウィーンに城壁が建設された。2度にわたるオスマン帝国軍の襲来を受けても陥落することのなかった頑強な城壁だ。

 1683年、大軍率いるオスマン帝国の2度目のウィーン包囲網に耐え抜いた後、ウィーンでは、ハプスブルク家の繁栄が始まった。1857年、時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、この城壁を撤去。その跡地に全長約4km、幅約57 mの環状道路リングシュトラーセを建設したのである。ドナウ川とリングシュトラーセをつなぐと変形ながら円が描かれ、その内側が歴史地区となっている。

 通称「リング」と呼ばれる環状道路の周辺には、ネオ・ルネサンス、バロック、ゴシック、ネオ・ゴシック、アール・ヌーヴォー(ドイツ語圏ではユーゲント・シュティール)様式など、さまざまな様式の建造物が建ち始めた。リング周辺はまさに西欧建築の展覧会場さながらだ。リングを歩くのもいいが、時間短縮のために市電に乗れば、居ながらにして建築物鑑賞がかなう。降りたい建物が見えたら下車。建物と建物の間には緑豊かな公園もあり、コーヒーとお菓子好きのウィーンの人々だけあって、カフェも事欠かない。歩き疲れたら、休める場所がそこここにあるのもうれしい。

リングの内側、ブルク公園にあるモーツァルト像。トーン記号の花が目印

 実はこの人に優しい都市プランそのものの構想が、世界遺産に認められる大きな一因となった。そして、あちこちでアマデウス時代の貴族の装いをした人たちが、音楽会のチケットを売っている。建築ウオッチングしながら、夜の音楽会の予定を練り、疲れたらカフェでウィーンナコーヒーとザッハトルテで一休み。それがウィーンの歩き方。

リングを一周する路面電車。車内でも乗車券は買えるが、Tabak-Trafikと呼ばれるキオスクのような場所でフリーパスを買うほうがお得

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