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縄文杉に会いに、屋久島へ! 登山で知る、屋久島の自然遺産としての価値

 小野 正惠
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日本が世界遺産条約に批准したのは1992年。その翌年、法隆寺、姫路城、白神山地、屋久島の4件が世界遺産に登録され、2014年現在、日本の世界遺産は18件を数える。このコラムで取り上げる日本の世界遺産第1弾は、屋久島だ。縄文杉で有名なこの島は、頭よりも体で知るのが一番。屋久島の懐に抱かれる登山を通じて、世界遺産を"体験"しよう。 (写真=土屋明)

屋久島の"肝"は「自然美」と「生態系」

九州本土の最南端、佐多岬の南方60km沖の洋上に浮かぶ屋久島。島の面積は約500平方kmというから、東京23区より一回り小さい感じだろうか。面積の約90%が山岳地帯で、島の中心部には標高1936mで九州最高峰の宮之浦岳を筆頭に、標高1800m以上の山々がそびえている。

この屋久島が、「世界遺産にふさわしい」と認められたポイントは、「自然美」と「生態系」の2つだ。

一般にスギの寿命は最長で800年程度といわれるが、屋久島には樹齢1000年を超えるスギの大樹が多い。花こう岩でできた島である屋久島は土壌の栄養が乏しく、スギの生長がほかの地域よりも遅い。このため年輪が緻密で樹脂が多く、この樹脂による防腐、抗菌、防虫効果のおかげで、樹齢が伸びるのだ。こうした国内最大級のスギの群生や、大規模な照葉樹の原生林が生みだす独特な景観が、美しいとされたのである。

屋久島は「月に35日雨が降る」と例えられるほど、多雨で湿潤な気候。大量な雨は、森に大いなる恩恵を与えている

一方の生態系に関しては「垂直分布」がポイントだ。屋久島では、約500平方kmの島の内に、南北2000kmに及ぶ日本列島全土の植生を見ることができる。つまり、海岸沿いから宮之浦岳の山頂まで登ったとすると、沖縄から北海道までと同じ植生を見ることができるのである。亜熱帯から亜寒帯まで――。この垂直分布に内包される生態系が自然美とともに貴重であるとして、世界遺産登録に至ったわけである。

ニホンジカの亜種であるヤクシカも、屋久島の貴重な生態系を構成する。天敵不在の島ゆえ、人が近づいてもあまり逃げない

とはいえ、屋久島が丸ごと世界遺産に登録されているのではなく、登録エリアは島全体の20%。もちろん、有名な縄文杉や、宮之浦岳も登録範囲内である。

では、屋久島の象徴たる縄文杉との対面を目指す登山を通じて、世界遺産の懐に飛び込んでみよう。ただし、世界遺産エリアにある縄文杉を見るには、ちょっとした覚悟が必要だ。ハイキング気分で登ると痛い目に会うのは必至なので、本格的な装備をして望むべしだ。

屋久島にはいくつかの登山道があり、縄文杉を目指すに当たって最もポピュラーなのが、島東部の荒川登山口からのルートだ。標高1300mの地点にそびえる縄文杉までは、登山口から歩いて4~5時間。日帰りも可能で、実際に多くの人が日帰り登山を楽しんでいるが、それだと行きも帰りもかなりの強行軍。脇目も振らず山道を歩くことになる。はるばる屋久島まで来たのだから、ゆったり自然の中に身を置きたい。そこで1泊2日の登山をお勧めする。

> 足元に目を注ぎ森の再生を感じる
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