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バルセロナでたどるガウディの軌跡 スペイン第2の都市は建築家の“遊び場”だった

 小野 正惠
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2015年1月現在、スペインにある世界遺産は44。世界遺産保有国としてはイタリア、中国に次ぎ3番目だ。その中で唯一、個人の名を冠した遺産が、19世紀から20世紀にかけて活躍した名建築家「アントニ・ガウディの作品群」。バルセロナでは、彼の手掛けた7つの建築作品が世界遺産に登録されている。一個人の作品ながら「世界の至宝」と認められた建築群の顔ぶれを紹介しよう。

色タイルを駆使した館で鮮烈デビュー

いまやすっかりバルセロナのランドマークとなった、サグラダ・ファミリア教会。超高層ビルがあっという間に建ってしまう現代において、この教会は着工から130年余を経た今なお、建設途上にある。尖塔群がそびえる姿は、超巨大な切り株のよう。教会のイメージを覆すこの建物の設計者こそ、「神の建築家」と呼ばれたアントニ・ガウディだ。

バルセロナ市街を一望。ほぼ中央、巨大な切り株のごとくそびえるのがサグラダ・ファミリア教会

1852年に生まれ、26歳で建築家となったガウディは、73歳で死去するまでに25の建築作品を残した。世界遺産に登録された7つの建物のうち、6つがバルセロナ市内の中心部にあり、その中の5つが主要な大通りから近い場所にある。中心部の作品は徒歩で回ることも不可能ではないが、地下鉄などを利用して回るのがいいだろう。ここでは、制作年代順に建物を見ていこう。

まずは、31歳の時に手掛けたカサ・ビセンス。タイル製造業者ビセンス氏の別邸で、ガウディの処女作だ。現在も居住者がいるため外部からの見学になるが、施主の職業に応じてタイルを多用した外観は実際に目の当たりにすると、ギョッとするほど奇抜だ。

ブロックで組み立てたかのような外観。この家の評判のため、施主の会社の株価が上がったという

ガウディ建築の象徴の1つが、目のくらむような曲線の多用だが、駆け出しだった頃の作品であるこの建物は直線が主体。しかし、多彩な色のタイル使い、ベランダの手すりのうねり具合、随所に見られる鳥や植物といった自然のモチーフなど、後のガウディ作品に見られるエッセンスはしっかり散りばめられている。一見、ガウディらしくないこの建物が、彼の建築の原点なのだ。

ガウディは自然を"師"とした。鉄柵のモチーフはシュロの葉である

生涯を独身で過ごしたガウディだが、この建物では、片思いをしていた女性の家の食堂のデザインや装飾を再現したとか。内部が公開される機会があれば、ぜひのぞいてみたいものである。

> パトロンの保護の下、大活躍したガウディ
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