part 3.Detail
好きな物だけに囲まれた暮らし

3-1 五感で住まいを体験する

実際にどんな住まいを作るのか、自分のイメージを具体化していくには、「いろいろな空間を“体験する”こと。それに尽きますね」と甘露寺さんは言う。知人にこだわりの住宅を建てた人がいるなら、事情を話して中を案内してもらう。建築家がオーナーの厚意で新築物件を公開するオープンハウスも、ぜひ参加してみたい。「海外より数は少ないものの、近現代の名建築を保存・公開している施設が国内にもあります。たとえば『江戸東京たてもの園』(www.tatemonoen.jp)にある前川國男の自邸は、木造建築ならではの工法、素材の使い方など、非常に勉強なりますよ」(淵上さん)。また住宅に限らず、カフェやレストラン、インテリアショップでソファと壁の関係を確かめるなど、普段の生活から自分が心地いいと感じるアイデアを得るのもおすすめだ。

「私が次の住まいのために一番参考にするのが、ホテルです。そのため出張先でも、ワンランク上の宿を取ってもらうんです(笑)」と語る甘露寺さん。夫と二人の生活だから、キッチンやダイニングの機能は最小限でかまわない。バスルームなども使いやすくコンパクトに。夫婦それぞれにお気に入りの椅子を置いたら、そこがリビング。「これからの人生で何より大切なのは、睡眠と休息。だからベッドルームは、最上級の寝心地と、リラックスできる環境を求めます」。また目が覚めたとき、最初に目にする光景は絵のように美しくあってほしいという願いを込めて、インテリアにも徹底的にこだわりたいという。

3-2 パーツから発想する住まい

“どこから見ても、絵になるように”というのが、自分の住まいのコンセプトだと語る甘露寺さん。そのため最初に建てた自邸以外はすべて、信頼するインテリアデザイナーに設計を任せ、内部のデザインがすべて完成してから、建物の構造設計を建築家に頼むという手順を踏んでいる。ディテールからの発想でいうと、とよださんが先日千葉の海辺に建てた家では、「クライアントのご夫婦が、趣味で集めていた古民家の材料を生かしたいというオーダーでした」。

重厚な蔵の扉を玄関に、軽やかな格子戸をトイレの引き戸に使うことで、シンプルモダンな空間に遊び心が生まれたという。建具以外にも、憧れていたデザイナーズ家具であったり、壁紙やファブリック、またコレクションの絵画から、それにふさわしい住まいを考える方法もあるだろう。建物という大きな“箱”からではなく、その“中”にどんな空間を作り、どのような時間を過ごすかというディテールからの発想は、自分にとって理想の家をつくりたいと考える女性には、おすすめの方法だろう。

3-3 自分の“嫌い”も明確に

「自分が“好き”なものだけでなく、何が“嫌い”なのかを明確にしておくことも大切です」と、とよださんはアドバイスする。たとえば雑誌やネットで気になる画像を見つけたとして、「このダイニングテーブルは好きだけれど、照明はどうも気に入らない。自分ならどんなデザインを選ぶだろう。もしかして照明は必要ない? とクリティカルに判断する習慣をつけておくと、建築家やデザイナーに依頼するときも自分のイメージする世界をより正確に伝えられると思います」(とよださん)。旅をしても、ショッピングやティータイムも、ネットを検索する時間も、理想の住まいを手にするためのよき経験。そう考えると、毎日の暮らしはより刺激的ではないだろうか?

Aha! 究極のホテル空間を住まいづくりの参考書に
世界を旅してきた甘露寺芳子さんが、「インテリアのセンスもホスピタリティも最上級」と太鼓判を押すのが、『AMAN(アマン)』(aman.com)。アジア他のリゾートが中心の31のホテルは、創業者のエイドリアン・ゼッカー氏の「自分が別荘を持つなら」という視点で魅力的な土地を探し、理想のリゾートとして具現化していったという背景を持つ。
Photoraphy
:by Michinori Aoki
Text
:by Mary Yamada
Composition
:by Yuko Taniguchi
Priv.
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