日経ビジネス定期購読者のためのライフスタイル誌Priv.よりスペシャルコンテンツをお届けします。
(日経ビジネス Priv.プライヴ 2015年 夏号より転載)

賢く選んで、快適なフライトを
今度の旅行は「エアライン選び」から

騒音や乾燥が抑えられ居住性が格段にアップした機体、フルフラットになる快適なシート、トップ・シェフや一流ホテルが監修した機内食メニュー、選りすぐりのプレミアムワイン・リスト、ライブで観られるスポーツやニュース……。テクノロジーの進化と航空各社の競争のおかげで従来の空の旅のイメージが、急変しつつある。これからはエアライン選びから旅を始める時代。旅行者に求められるのは、積極的に情報を求め、自ら旅を演出していく「主体性」である。

ご協力いただいた方

コスモクラーツトラベル代表 村井和之 さん

世界のVIPやビジネスマンを中心としたテーラーメイドトラベル専門の旅行会社を営む。独自の視点や幅広い人脈に定評があり、テレビ番組や雑誌の海外企画も担当している。
www.cosmocratstravel.com

トラベルメディア「Traicy」編集長 後藤卓也 さん

日本最大級のコンシューマー向けトラベルメディア編集長。エアラインを中心とした旅行関連の最新情報を中心に執筆。年間約100回搭乗、約60泊をホテルや機内等で過ごす。
www.traicy.com

リージェンシー・グループ 会長兼C.E.O 沼能 功 さん

旅行業界に携わって36年。長年のキャリアを生かして、ラグジュアリートラベラ―の旅行アレンジを専門に行っている。多くの顧客を抱える中、自らも世界中を飛び回っている。
www.regency-trvl.com

part 1. ランキングの意味するもの 居住性の追求

1-1 激動のランキング

今年3月、英国の航空サービスリサーチ会社スカイトラックス社※1が全日空に3年連続で「5スター」という評価を与えたことが話題になった。

一方で、スカイトラックス社と並んで影響力のあるオーストラリアのエアラインレイティングス社※2の2015年版ランキングによると、1位ニュージーランド航空、2位エティハド航空、3位キャセイ・パシフィック航空、4位カンタス航空、5位エミレーツ航空、6位シンガポール航空、7位エバー航空、8位ルフトハンザ航空、9位全日空、10位ブリティッシュ・エアウェイズと、アジア勢、アセアニア勢の堅調に加え、中東勢の台頭が目立つ結果が出ている。

「中東勢の躍進でエアライン・ランキングは激動の時代に入りました」と解説するのは、旅行関連情報をいち早く発信している後藤卓也さん。総合ランキングはファーストからエコノミーまで各クラスの評価をまとめたものだが、やはり物を言うのは、ビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスの充実度(最近はファーストクラスを持たないエアラインが多い)。航空各社が競って独自のカラーを出してくるのも、これらのクラスであり、Priv.読者はまさにそのターゲットということになる。

*1 Skytrax(スカイトラックス社)の「5スター」エアライン(2015年2月現在)。全日空、アシアナ航空、キャセイ・パシフィック航空、ガルーダ・インドネシア航空、海南航空、カタール航空、シンガポール航空の7社。www.airlinequality.com *2 Airlineratings(エアラインレイティングス社)www.airlineratings.com

1-2 "魚の骨"の配列

「まず着目するべきなのは座席の配列です」と指摘するのは、ヨーロッパを中心にラグジュアリーな個人旅行の手配をしている沼能功さん。飛行中、周りの席の乗客の存在を気にせずに過ごせたらと思った経験は誰にでもあるはず。

最近の主流は、「ハ」の字形の配列で、全体が魚の骨のように見えることからヘリンボーン(魚の骨を図案化した模様のこと)式と呼ばれるもの。この配列をビジネスクラスに採用している主なエアラインは、キャセイ・パシフィック航空、タイ航空、エールフランス、エア・カナダなど。これに対して、日本航空や全日空は座席を前後にずらして配置するスタッガード型を採用。いずれも隣席との干渉がない。

一方で従来の一列配列でありながら、従来の「2-2-2」から「1-2-1」に座席数を減らし、全席通路側を実現したのがエアライン・ランキングでも常に上位をキープするシンガポール航空だ(成田発のA380型機)。しかも座席の幅は68.5cm。大手航空会社と比べても格段に広い。

1-3 気圧と湿度の問題に挑戦

2階建ての巨体で話題となったエアバス社のA380と並んで、最先端のテクノロジーが詰まった機体といえるのがボーイング社の787-9。同様他機種と比べて使用燃料が20%減で飛行できて地球に優しい。

「乗客が直接享受することのできる、より現実的な恩恵は、高度空気清浄システムの導入でクリーンな空気が保たれ、また気圧を低く、湿度を高く制御することが可能となり、飛行中の肉体へのインパクトが格段に下がったことです」(後藤さん)。機内の騒音が軽減されたのも嬉しい。日本発着のエアラインで同機種が導入されているのは、ニュージーランド航空、全日空、日本航空(7月から)など。

同様に日本路線にA380を飛ばしているのは、シンガポール航空、タイ航空。もし、複数の選択肢があるなら、機材のチェックから入って、先進の「空の居住性」を体験してみたい。

Aha! エアライン・ランキングは部門別に注目
例えば、スカイトラックス社が毎年7月に発表するランキングには、総合ランキングにあたる「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に加え、アジア、ヨーロッパなどエリア別のランキングやスタッフサービス、キャビンの清潔度、ベスト・ビジネスクラス、ダイニングなどのランキングがある。目的とこだわりに合わせてチェックを。
part 2. 食事、ワイン、エンタテインメント
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