Photography by Yoshiaki Toda

戸田嘉昭の写真レッスン 人生の美しい切り撮り方
人生の伴走者となるカメラを選んだら

日経ビジネス定期購読者のためのライフスタイル誌Priv.よりスペシャルコンテンツをお届けします。
(日経ビジネス Priv.プライヴ 2014年 春号より転載)

これから写真を始めようという人は、まずどんなカメラを選んだら良いかで迷うと思います。初心者だけれど、本格的に写真を始めたいという方に私がすすめたいのは、デジタル一眼の中でもコンパクトな軽量モデルです。カメラはあまり小さいとかえって撮りにくいのですが、大き過ぎると重たくて、持ち運びが大変です。レンズ込みで1kg前後位のデジタル一眼の中から選んでみたらいかがでしょう。ブランドはどこのものでも良いでしょう。レンズは24㎜から105㎜位までのものが最適だと思います。野鳥や猛獣を撮りたいという人でもない限り、105㎜あれば、ほとんどの被写体に対応できます。

カメラを手に入れたら、できれば毎日持ち歩いて、綺麗だなと思ったものはどんなものでも撮りましょう。それが上達への一番の近道です。道に落ちている空き缶でも、空でも、草花でも何でも構いません。撮る時は自分がほしいと思う絵を頭の中に描いて、ズーミングをしていきます。グンと寄って撮りたいのか、被写体は小さくして、周りの景色も入れたいのか、それを判断してレンズのズームを決めていきます。

撮った写真がある程度たまったら、パソコンのモニター上に並べてみます。すると、きっと自分の中に眠っている美的センスを発見できるはずです。「自分ってこんな雰囲気が好きだったのか!」と驚くこともあるでしょう。不思議なことに写真には撮る人の美的感覚があからさまに出てしまいます。さらに言えば、撮る人のおっちょこちょいな部分やあさはかな部分等、すべてが出てしまいます。自分が撮った写真を見ることで「自分はこうだったのか」と気づかされることもあるでしょう。そして、その"自分"はずっと同じではなく、日々変わっていくのです。

私はストックホルムの写真学校で写真を学び、27歳で帰国。その後、アシスタントを経て、30歳でカメラマンになり、40歳で独立しました。それから現在に至るまで本当に長い間、平日はほぼ毎日写真を撮っています。こんなに長く続けられた理由は、今日自分がどんな写真を撮るのかいまだに分からなくて、それが面白いからです。基本的に自分の感覚に任せて撮っていますが、撮った写真を見ると、いつも昨日とは違う自分が居ることを発見しています。そんな"自己発見"とともに、物の美しさの発見も写真の大きな楽しみです。日常的な物がレンズを通して輝きを見せた時。人が心を込めて創った物を撮っていて、創った人の心が見えてきた時…。そんな時は、本当に嬉しいものです。

3 points.

・カメラは軽量なデジタル一眼レフカメラを。レンズは24〜105㎜位のものを選ぶ。
・いつもカメラを持ち歩いて、綺麗だと思ったものは何でも撮る。
・ある程度写真を撮りためたら、並べてみて自分の美意識を確認する。

戸田嘉昭 Yoshiaki Toda
静物写真家

1947年生まれ。ストックホルム大学附属写真専門学校卒業。品格のある美しい静物写真で多くの雑誌編集者から支持を集めている。特に腕時計、宝飾品、化粧品の撮影に定評がある。写真スタジオ㈱パイルドライバーを主宰し、後進の育成にも努めている。日本写真家協会、日本広告写真家協会会員。
Photography
:by Yoshiaki Toda
Text
:by Yoshiko Takahashi
Priv.
日本を担うリーダーのためのNO.1ビジネス誌、日経ビジネスの自宅定期購読者にお届けする女性ターゲティングメディアの先駆けとして2000年に創刊。プライヴは読者の「ワーク ライフ バランス」を充実させる上質かつコンテンポラリーな選りすぐりの情報を、美しい写真と独自の視点でご紹介し、数多くの反響と共感を頂いて参りました。