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(日経ビジネス Priv.プライヴ 2014年 春号より転載)

こだわりの家庭洗濯 最高のランドリー

洋服ケアの専門家、古田 武さんから、上質なインポートのシャツはクリーニングによって、縮みが発生し型崩れすることがあると聞いて驚いた。たとえば、襟の開きがその一例。洗った後、濡れたままの状態でシャツを高温プレスすることで、生地が縮み、計算されていたはずの襟の裏表のバランスが崩れてしまうのだという。そして古田さんは、家庭洗濯のよさを丁寧に説いてくれた。お気に入りの一枚なら自分で適切にケアし、長く愛用できるに越したことはない。正しいランドリーの知識を得れば、家庭洗濯の腕前も上がるうえ、洋服への愛着も増すはず。そこで今回、洋服ケア、洗剤、洗濯機の各分野の専門家に取材をし、それぞれの視点でランドリーの智恵やコツをうかがった。この特集をきっかけに、日常のワンシーンであるランドリーを、より洗練されたものへと格上げしてみてはいかがだろうか。

ご協力いただいた方

レジュイール 古田 武 さん

クリーニング以上の上質なケアを専門に行うレジュイール代表取締役会長。欧州のクリーニング技術、アイロン技術などに精通し、独自のケアを提案。

ライオン お洗濯マイスター 山縣義文 さん

快適な暮らしに役立つ情報を提案するライオン株式会社のお洗濯マイスター。洗濯を科学的な視点でみて、自らも日々洗濯を行う。

パナソニック株式会社 コミュニケーショングループ 広報チーム 田中藤子 さん

パナソニックの家電、なかでも洗濯機に精通する広報担当者。実際に自分でも、さまざまな洗濯を試み洗濯技術の向上に努めている。

part 1. 洗濯は愛情
〜 わずかな手間を惜しまず美しく仕上げる

1-1 洗濯機+α

汚れたものを洗濯機に放り込む前に、ひと手間かけることをプレケアと呼ぶ。レジュイールの古田 武さんは自己流のプレケアを実践しているそうだ。「シャツの襟汚れなどは洗顔石鹸をつけてブラッシングしてからだと、効果的です。焼き肉、スパゲティなど、食べ物の油汚れは台所洗剤で汚れた部分を軽くもんでおくとよいでしょう」。また、洗剤メーカーのライオンでは、襟・袖口、食べ物シミ・黄ばみ、靴下・ズックの汚れと、汚れに応じたプレケア用洗剤を展開しているので活用したい。

1-2 白い輝きを維持する

洗ったはずの白いシャツが黄ばんでくる。誰でも経験のある、この問題について専門家の意見はこうだ。「黄ばみは衣類に残った汚れなどが酸化して発生します。木綿の白いシーツ、下着、シャツなどは60度のお湯で10分洗い、お湯で2分すすぎ、さらに水ですすぐ。すると洗濯物が真っ白になります。日本でも昔は衣類を煮洗いしてから洗濯機に入れたりしていました。コットン製の白いものだけをまとめて洗う。これが白い洗濯もののポイント」(古田さん)

1-3 洗濯は絶対お湯

前項のほか、パナソニックの田中藤子さんも洗濯にはお湯のほうが効果的であると話す。「皮脂の融点は37度。そのため、40度以上のお湯は皮脂汚れに高い効果があるほか、40度を超えることで洗剤の酵素が活性化します」(田中さん)。パナソニックでは昨年、洗濯機内で水を加熱する温水機能付きを発売した。衣類の縮みが心配なところだが、「お湯で洗っても縮むことはありません。濃い色の衣類やゴム入りのものは色落ちや傷みの心配があるので低い温度のお湯で洗います」と古田さん。

1-4 ウールの基本は手押し洗い

ウールのニット製品を、古田さんが家庭でどのように洗っているのかを聞いた。「ウールは濡れるとスケール(鱗片)が開きます。もみ洗いをすると、これが絡まり縮むのです。ですが、もまずに優しく押して洗うと、縮みません。中性洗剤で押し洗いし、すすぎのあと、水の中に頭髪用のリンスを2プッシュ溶かして衣類に馴染ませます。30秒脱水し、平干しで自然乾燥。完全に乾いてから乾燥機に20分入れればフカフカになります。最初のうちはドライクリーニングに出して、新品の風合いを楽しみ、着古してから家庭洗濯がおすすめです」(古田さん)

1-5 クリーニングと家庭洗濯

ウールのニットが家庭で洗えるといっても、クリーニング店にお願いしなくてはいけないものも当然ある。「コート、ジャケット、毛皮、皮革、シルクの家庭洗濯はおすすめできません。スカートやパンツは家庭で洗えますが、これもアイロンがかけられるなら、という条件付き。シルクは家庭洗濯するとツヤが抜けたり、小ジワが付く場合があります。クリーニング店については、白いものをドライクリーニングした際、白色がくすんで上がってくるようなお店はおすすめできません」(古田さん)

Aha ! 欧州と日本の洗濯の違い
古田さんによれば、欧州の家庭では、ランドリーにお湯が使えるような配管がなされているのが一般的だという。ところが日本では、水しか使えないのが当然となっている。その理由は硬水と軟水の違い。「日本は軟水のため低温でも、洗剤の泡立ちがよいのです」(田中さん)。水しか使えない場合は、「お湯を洗面器などで足してやるだけでも効果的」(古田さん)。

アイロン台 ¥16,800 アイロンボードカバー¥2,940 スプレー¥1,995 /リビング・モティーフ 03-3587-2784 www.livingmotif.com/

part 2. 洗濯は科学
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