北欧を代表するデザイナー、
インゲヤード・ローマンさんのデザイン美学と暮らし方

インゲヤード・ローマンさんは、スウェーデンを中心に世界的に活躍するガラスと陶器を手掛けるデザイナーだ。シンプルでピュアなデザインで知られ、花器、グラス、ボウル、照明器具など日常的に親しく使えるものを創作している。 2016年に迎える佐賀県の有田焼創業400年を記念するプロジェクト、「2016/ project」に参加しており、このほど来日し、東京でトークショーを、有田で講演会とワークショップを行い、多くの人に印象的な存在感を示していった。半世紀にわたって活躍し、今も変わらず、みずみずしい作品を創作する背景と日常の暮らし方を聞いた。

新しい目で、残されている宝を探す。
有田に、新しい感性を。

モノトーンのシックな装いに身を包み、銀色の髪に穏やかな笑みをたたえ、内側から淡い光を放つような、北欧風の美しさとエレガンスを漂わせるインゲヤードさん。1970年代から活躍し、Skruf(スクルフ)やOrrefors(オレフォス)などスウェーデンを代表するブランドにデザインを提供するほか、美術館での展示も多く、米国ワシントンのスウェーデン大使館のロビーに作品が置かれるなど、高い評価を得て幅広い活動を続けている。

Skruf(スクルフ)のBellman(ベルマン)シリーズ。
一つひとつ手作業でつくられている。

世界中のガラスメーカーからデザインを切望される作家として、日本にも1982年に初来日、その後も定期的に日本を訪れている。

このたびの来日は、世界の気鋭のクリエイター16組の感性と、有田の窯元の職人技術を融合させ、有田焼の新たな魅力を発信するプロジェクトにデザイナーのひとりとして参加するためだ。この試みで誕生する作品群は、今年4月のミラノサローネでお披露目され、世界に広く発信される。

「有田に新しい息吹を」、という刺激的なこの企ては、インゲヤードさんがかつて、オレフォスというスウェーデン王室御用達の老舗ガラスメーカーで行ったことと同様の意義がある、と今企画のクリエイティブディレクター、柳原照弘さんは語っている。

それは「新しい目で、残っている宝物を探す」ということだ。今プロジェクトのために2014年から有田を訪ね、ものづくりを続けるインゲヤードさんは語る。

「有田に大きな可能性を感じます。有田はその歴史のなかで、日本だけでなく、外国人によって魅力が引き出されてきました。有田の強さがこの400年を紡いできたのです。大切なのは、現代の人々が求めるものを有田の力と技術で応えること。伝統は継承するだけでなく、前に進めなくてはなりません」

デザインの源泉は、日常に起こることのすべてから。
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