歴史を知ればラグビーワールドカップが
もっと楽しくなる

2015年9月18日にイングランドで開幕したラグビーワールドカップ。2日目の9月19日、南アフリカ戦での日本の劇的な勝利は、国内のみならず世界からも賞賛が寄せられた。2度の優勝国から勝利をもぎ取った日本チームの戦いぶりに、一挙にラグビーへの関心も高まった。そもそも緑の芝生の上で15人の屈強なラガーたちが肉弾相打ち、気力、体力の限りを尽くすこのスポーツは、どのようにして始まったのか?英国にあるラグビー発祥の高校や戦いの舞台ともなるラグビーの聖地を訪れて、その歴史と熱き舞台を紹介する。

ラグビー発祥の地は、英国のラグビー

ラグビーワールドカップは、1987年から4年に一度、開催される世界大会であり、スポーツイベントとしては、FIFAワールドカップ、オリンピックに次ぐ世界第3番目の規模とされる。これだけの人を熱狂させるラグビーというスポーツは、どのようにして始まったのだろうか?

そもそもラグビーの正式名はラグビーフットボールだが、今日、英国でフットボールと言えばサッカーのこと。ボールを持って走るのではなく、蹴り合うフットボールのほうがその歴史は古く、中世12世紀の英国ですでに行われていたというフットボールは、村対村が教会のドアをポストとしてボールを蹴り合うという荒々しい競技。途中でボールを手で持とうがお構いなし、乱闘もありとなんでもあり、とにかく一点先取で勝利という試合には、何百人という人が入り乱れて参加することもあったという。

そんな無秩序なフットボールから、今日ラグビーと称されるラグビーフットボールへの転機が訪れたのは、19世紀の初め、その名もラグビーという町にある創立1567年のイングランドで最も古い名門パブリックスクールであるラグビー校でのことだ。

ラグビー発祥の地、ラグビー校。現在は男女共学の全寮制パブリックスクール。
今もピッチは、きれいに手入れされていて美しい。

現在、ラグビーの駅へは、ロンドンのユーストン駅から列車で北西に向かい、1時間15分で到着する。瀟洒なレンガ造りの家が通りに並ぶ美しい郊外の町は、今、ラグビーワールドカップにちなんで、週末には子供たちのためのラグビーイベントやさまざまなプログラムのラグビーフェスティバルで沸き返っている。

さて、この町にあるラグビー校では、その昔から羊の放牧で整えられた芝生の上で、今日のイングランドチームの起源でもある白のユニフォームを羊の糞まみれにしながら、くだんのフットボールが行われていた。そしてまことしやかな伝説によると、1823年にウィリアム・ウェブ・エリスという少年が、ゲームの最中、ゴールを決めんと蹴り合っていたボールを手に取ってエンドラインの向こうまで疾走(ランニングイン)したときにラグビーは誕生したという。

確かなことは、1845年にこのラグビー校の学生たちによって、初めてフットボールの試合規則書が作られたということだ。また、ラグビーの国際試合で代表チームがかぶるキャップの起源も、このラグビー校がフランスのチームと対戦したときにハウスキャップを被ったことからという。今に続くラグビーのさまざまな伝統がここから始まったのは、間違いない。

ラグビーにあるラグビー・アート・ギャラリー ミュージアムのエントランスを飾るのは、
ウィリアム・ウェブ・エリスの像。

今も勝利のゴールを目指して激しく選手同士がぶつかり合うところは同じだが、無秩序だったゲームが名門パブリックスクールでこんなふうに昇華されていったことを知ると、ラグビーが紳士のスポーツと言われるのもうなずける。

ラグビーワールドカップ、戦いの舞台を巡る
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