FPがおすすめする資産管理術 住宅購入の予算

皆さん、こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの山田英次です。

今回は、住宅を購入される際の予算について、お話をしてみたいと思います。

『何を基準にして、住宅購入の予算(価格帯)を決めたのですか?』

実際に住宅購入前後にご相談にいらっしゃる方に、このような質問をすると(悪い意味ではありませんが)、明確な答えが返ってくるケースは多くありません。

代表的なお答えを3つ挙げると、下記です。

①『会社の先輩、仲間たちと同じくらいのグレードで考えた』
②『年収の○倍くらいが目安かと思って……
③『ローンが、収入の○割以下になるように……』

どれも、なんとなく大丈夫な気もしますが、いい加減で、根拠が無いように感じる方もいらっしゃるかと思います。

この他にも、最近は、マンションギャラリーや、住宅展示場で、ファイナンシャルプランナーのアドバイスを聞いて金額を決めた、などという方も増えてきましたが、そのアドバイスには疑問を感じることも多々あります。

では、結局のところ、自分たちが家を買うときに考えるべき「適正な予算」とは、どのように考え、導き出せばよいのでしょうか?

今回のコラムでは、住宅購入を検討される多くの皆さんが抱く『どれくらいまでなら無理なく購入することができるか?』にお答えすべく、お話を進めていきたいと思います。

5つの落とし穴

マンションギャラリー住宅展示場を訪れる方のなかには、明確な予算を考えていない方も多くいらっしゃいます。例えば、『だいたい5000万円くらい』と、曖昧に考えて来場した方が、普通に7000万円、8000万円以上の住宅購入の検討を始めることも多々あります。

ただ、そのときに頭をよぎるのが、『自分たちに払いきれるのか』、『自分たちの身の丈に合っていないのではないか』という不安です。住宅ローンは、一度組んだら後戻りはできませんから、その気持ちはよくわかります。そこで問題なのが、「誰のアドバイスを聞けばいいのか」です。

住宅購入を検討する場では、FPによる無料相談会のようなサービスが提供されていることがよくありますが、知っておくべきことは、ひと口にFP(ファイナンシャルプランナー)といっても、そのスタンスと知識レベルには大きな個人差があるということです。

例えば、無料相談会の代表的なサービスに、住宅ローンをスタートした場合の「家計のシミュレーション」がありますが、これを作成する際に、陥りがちな落とし穴は5つあります。もし、皆さんに資料を作成してくれるFPが、下記の5つのどれか一つでもあてはまっているようでしたら、ぜひ、皆さんのほうから、資料の修正をリクエストしてください。

① 夫婦がずっとフルタイムで働くパターン(子供が生まれても)のみ提示する。
(本来は、さまざまなキャリアプランを検討したいところです)

② 子供の進学ルートがオール国公立であるパターンのみ提示する。
(キャリアプラン同様、私立への進学の可能性も踏まえて検討したいところです)

③ 生活費が、今のまま上がらない前提とする。
(一般的には、年を重ねれば、少しずつ生活費は上昇する傾向にあります)

④ 収入(給料)が、順調すぎるペースで上がることを前提とする。
(順調すぎる人生を前提にすることは危険です)

⑤ 生活費以外のレジャー(旅行)費用や帰省費用、自家用車の購入などの雑費を考えない。
(人生では、あらかじめ使途を定めていない雑費があるのが普通です)

FP無料相談で提供される「家計のシミュレーション」は、具体的にどのくらいまでの住宅ローンであれば無理なく返済ができるかを把握することができる、有益なツールであることは間違いないのですが、その設定があまりにも楽観的になっている場合は、注意が必要だということです。

適正な予算とは

少々乱暴な言い方になりますが、前述のように、借り入れ金額を検討する際に、『年収の○倍までなら大丈夫』、『収入の○割までの返済額なら大丈夫』などと、適正な住宅の 予算や借入金額の目安をひと言で表すことは、不可能です。

なぜならば、皆さんそれぞれの収入は異なりますし、現時点で(これまで貯めてきた)預貯金や有価証券などの資産残高も同じ人はいないからです。また、生活費や行きたい旅行、乗りたい車、服飾費にまわしたい金額、外食にかけたい金額も異なりますし、そもそも家族構成も、教育費に関する考え方も、今後のキャリアプランも千差万別ですから、住宅購入においては、「ざっくりとした目安」などというものは、存在しないのです。

存在するとすれば、現在の収入や個人の信用に基づいた、「借り入れ可能金額」となりますが、当たり前ですが、これは返済可能金額とは異なります。例えば、『お客様の収入であれば、フラット35の上限の8000万円までは借りられますよ』などと言われれば、なかには、うれしくなってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、長く続くその返済が、今後のライフプラン、キャリアプランを踏まえて無理がないか、本来は慎重に検討する必要があります。人生には、住宅以外にも大きな出費があるのです。

人生の3大出費とは
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