FPがおすすめする資産管理術
登山と資産形成

節約に節約を重ねて、いつも我慢ばかりして、本当にやりたいことや、欲しいものは、なかったものとしたり、見なかったことにしたりする…。

仮に、皆さんがそのような人生を歩んで年を重ね、その結果、周囲の友人知人よりもたくさんのお金を持って、70歳、80歳を迎えたとしても、それは・・・もしかしたら、それは、楽しく、満足できる人生だとはいえないかもしれません。

当たり前ですが、我慢をすれば、つまり支出を抑制すれば、より多くのお金を貯めることができますが、老後になってから、

 『もっと、人生を楽しめばよかった』
 『本当にやりたいことをやればよかった』
 『いつも我慢ばかりしなければよかった』

と思っても、時計の針を戻すことはできません。

理想的な人生は、『いまも楽しく充実』していながら、未来の自分も経済的に『ゆとりがあふれている』人生となりますが、このようなバランスのとれた人生を歩んでいる方は多くないのではないでしょうか?

ひたすら我慢をして『いまを楽しまずに』未来のゆとりをつくっても、逆に、何も考えずに浪費して『いまを楽しむことだけを優先して』未来の自分が経済的窮地に追い込まれても、どちらもよい人生とはいえません。

今回のコラムでは、このバランスをとるための、シンプルな考え方についてお話をしたいと思います。

資産形成と登山

ミシュランガイドで三ツ星に認定された2つの山のうち、一つは日本最高峰となる富士山です。皆さんは、もう一つの山がどこか聞いたことはありますか?

正解は、関東では老若男女が気軽に登れる山として人気が高い東京都八王子市の高尾山です。

どちらも魅力的な山ですが、いざ、登ろうとする場合、事前の準備、必要となる装備、登山の所要時間など、多くの相違点があります。

また、登山計画も大きく異なります。一般的には、高尾山は日帰りでの登山が十分可能ですが、富士山の場合は、2日または、それ以上の計画を立てることが多いのではないかと思います。

これは、そもそも頂上の標高、つまり、現在地との高低差、歩く距離が大きく異なるわけですから、あたりまえですね。

この、『登山』ではあたり前の感性が欠けてしまっているケースが多々あるのが、資産形成です。

例えば、人生における資産形成を、登山にたとえると、下記のようになるかと思います。

 ① 現在地の標高 = 現在の保有資産残高
 ② 出発時間 = 資産形成(積み立て・運用等)の開始時期、年齢
 ③ 頂上の標高 = 退職時の保有資産残高 = 安心できる老後のために必要な資金
 ④ 装備 = 選択できる(知っている)金融商品
 ⑤ 登山のペース = 積み立てのペース

どれも大切な要素になりますが、登山であれば、自分が自分の責任において、全てを確認し、準備を整えることになるかと思います。でも、なぜか人生の資産形成になると『自己責任』で計画をし、準備を整えることをしない人が続出します。

資産形成の計画づくり①(上るべき山の高さを知る)
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