毎日使うものだから。
丁寧な手入れで手になじむ包丁に

家庭で毎日使われる身近な刃物のひとつである包丁は、できるなら手になじむものを長く使いたい。しかし、長く使っていれば刃物の切れ味は必ず落ちる。そんな包丁の切れ味を取り戻すための作業が“研ぎ”だ。 今回は、家庭でできる包丁のお手入れと研ぎの方法について話を聞くため、江戸時代(寛政4年)創業の老舗刃物店「木屋(きや)」を訪ねた。

柄の乾拭きと“研ぎ”でメンテナンスは万全

今回、包丁のメンテナンスをレクチャーしてもらった「木屋」の石田克由さんは、これまでさまざまな場所で研ぎ方教室の講師も務めてきた包丁のスペシャリスト。

そんな石田さんにまず教えていただいたのが、包丁を長く使うために日常的にしておきたい手入れの方法。

「多くの方は、包丁を使ったら、水洗いして、刃と柄の部分を濡れ布巾で拭いておしまいだと思いますが、一日の終わりには、その後に乾いた別のタオルで柄を乾拭(からぶ)きしてください。そして、しまう際には刃先を下にする。たったこれだけのことで、包丁がより長持ちすることになります」

実は、包丁で最も弱いのが柄の部分。持ち手の下にある金属部分は腐食しやすいという。そのため、普段から湿気や汚れを取っておくことが重要なのだ。

石田さんが教えてくれたことを実践するだけで、包丁の寿命は延びる。しかし、長く使っていれば、必ず切れ味は落ちるもの。それ故、包丁を長く使うためには、落ちた切れ味を蘇らせる“研ぎ”が必要なのである。では、包丁を研ぐタイミングはどう判断すればよいのだろうか?

「最も分かりやすいのが、トマトがスムーズに切れるかどうか。トマトがスパッと切れなくなった包丁は研いだほうがいいですね」と、石田さんは説明する。

そして、包丁を研ぐのに欠かせない砥石(といし)。その種類には、目の粗いほうから「荒砥(あらと)」、「中砥(なかと)」、「仕上げ砥」がある。プロの道具を手入れするなら、すべて揃える必要があるが、家庭で使うなら「中砥」だけあれば十分。また、高価な天然砥石ではなく、比較的廉価な人造砥石が扱いやすくておすすめだ。

ちなみに簡易的なシャープナーなどもあるが「包丁本来の切れ味を取り戻すためには、砥石で研ぐことが大切です」と石田さん。簡易的なものに全く効果がないとはいわないが、あくまで補助的なものなのである。

包丁研ぎは角度で決まる!
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