“筆記具の最高峰”万年筆を一生使う! (前編)

例えば大事な商談や契約の場で書類にサインをする際、使っているのがどこにでもある事務用のペンでは、さまにならない。手書きの文字を書くことが少なくなっている今だからこそ、「字を書く」道具にはこだわりたいもの。

字を書く道具とは、つまり筆記具。そして、その最高峰といえるのが万年筆だ。長く使えば使うほど手になじむという万年筆と一生付き合っていくための使い方を、専門家に伝授していただこう。

優れた書き心地とペンそのものの美しさが魅力

「以前に比べると、万年筆をお求めになる若いお客さまが増えました。また、女性のお客さまも多いです」と語るのは、東京・南青山に2001年から店を構える高級筆記具専門店「書斎館」の福家(ふけ)はるなさん。

現在、万年筆が若者を中心にちょっとしたブームになっている。数年前に国内メーカーが発売した、1000円ほどで購入できる廉価な万年筆が流行ったのがきっかけのようだ。廉価とはいえ、書き味はなかなかのもので、このペンを入り口に万年筆の魅力にすっかりはまってしまう人が続出。こちらの店にも、「次の一本は本格的なものを」と訪れる客が後を絶たないという。

世界中の万年筆やアンティークの書斎グッズがコレクションされた、
書斎館の店内。まるで博物館のようだ。

万年筆で書いた文字には、インクの濃淡や線の強弱から醸し出される独特の味わいがある。紙の上を滑るような書き心地も楽しく、一度手にすれば、万年筆が「筆記具の王様」と称されるのも納得できるだろう。

また、万年筆そのものの美しさも魅力の一つ。漆塗りや彫刻など、見事な細工が施されたものなどは、見ているだけでうっとりしてしまう。

しかし、これまで万年筆を持ったことのない身には、メンテナンスなどが難しそうで、いざ使うにはハードルが高い。そんな思いを伝えると「万年筆のメンテナンスには特別な道具を用意する必要ありませんし、作業も簡単です」と福家さんは答える。

インクの供給方法で分類できる万年筆の種類
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