実はほとんどの人が知らない正しいシェービング術

ほとんどの人が毎朝、出勤前にシェービングをするはずだ。しかし、毎日の習慣でありながら、その方法をきちんと知っている人は意外と少ない。ひげを奇麗にそるにせよ、整えるにせよ、これは男性すべてが軽んずべからざるメンテナンス。
そこで、今回は、シェービングの正しい方法を専門家に聴いてみた。

ひげが社会的に許容される時代がやってきた

古来、威厳の象徴であったひげは、日本社会では高い地位の人のためのものであった。そのため、戦後の日本においては、上級役員でもないかぎり社員はひげを剃るのが当たり前。

今回、お話を聴いたカミソリ倶楽部の竹内教起(のりおき)さんは、まずはそんな歴史からひもとき始めた。

「……ところが、この2、3年で日本人の意識が変わり、営業職の会社員たちにもひげを生やす人が増えています。もちろん、職種にもよりますが、ひげがスタイリッシュだったり、クリエーティブなイメージを持っていたりするように解釈され、社会全体がひげに対して寛容になってきたようです。今はソーシャルネットワークなどで、個人が思うようにいろいろな発信ができる時代になりました。つまり、昔の社会のように、偉い立場の人がみんなを統制することができないし、個人がオリジナリティーを発揮してもいい時代だといえるでしょう」

シェービングのスペシャリストである竹内さんは、シェービングやグルーミング用品の専門店であるカミソリ倶楽部の5代目。彼の祖父にあたる竹内金蔵さんは、戦後まもなくシックをはじめとする海外の剃刀(かみそり)を日本に導入した立役者だ。

そんな家系に生まれたこともあって、彼のひげへの思いには並々ならぬものがうかがえる。現在、竹内さんは、ひげを残す文化を創造すべく、理容師仲間とヒゲ倶楽部を運営し、ひげの魅力や正しいシェービング、ケアを紹介する活動をウェブを通じて行っている。

まずはひげの流れに沿って剃ることが重要

では、具体的にシェービングをする際、どんな方法を取ればよいのだろう。

「まず、ウエットシェービングでは、ひげに十分な水分を与えることが必要です。お湯で普通にひげをぬらしてください。この際、過度にぬらす必要はありません」。

そのあとで、竹内さんがぜひ使ってほしいと推奨するのが、ブラシである。お湯で洗剤を泡立て、マッサージするようにブラシで顔に泡を塗っていく。

読者のなかには美容室を利用していて、このブラッシングを長く経験していないなんて方も多いのではないだろうか。が、竹内さんにお話をうかがい、この作業は実は泡を塗るだけが目的ではないことが分かった。

「肌をぬらすことで毛穴が4割膨張するといわれています。つまりその分、深剃りができるというわけです。と同時に、ブラシを使うことで水分が奥まで届き、毛穴の汚れをかき出せます。ブラシを使うのは、少々面倒に思えるかもしれませんが、これは洗顔ブラシにも使えて実に有効。たとえば、加齢臭が出るとされる耳の後ろも、ブラシできれいに洗うといいですよ」

カミソリ倶楽部ではイタリア製をはじめ、海外で作られたブラシセットを販売しているが、これはいずれもアナグマの毛を使用しているそうだ。アナグマの毛はせっけんを付けても毛全体が固まらず、広がりを持ち続けるため、シェービングに適しているのだ。

次に、泡を付けたひげを剃るが、ここで注意したいのは刃を動かす方向だ。多くの人は無意識にひげの向きとは逆方向、つまり下から上に向かって刃を動かしてしまう。

「いきなり下から剃るとひげが引っかかってしまいます。まずはひげの流れに沿って、下向きに、すべてのひげを剃ってみてください。そのあとで下から上に向けて沿っていきます。鼻の下や喉、口角など、粘膜に近いところは肌が弱いので注意してください。また、肌荒れのある人は、ひげが多少残っていても逆剃りをしないで、そのままにしておくほうがよいでしょう。無理に剃っても、結局はまたひげが生えてきますから、肌をいたわるべきです。銭湯などに置かれている使い捨てのものは、ひげと一緒に皮脂を削り、肌を切ったり、剃刀負けしたりしやすいのでお勧めしません」

電気シェーバーはドライが基本
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