話題呼ぶ「星のや富士」日本初グランピングリゾートとは

どこかに出かけて自然を満喫したいアウトドアのシーズン。今、気になるキーワードが、グランピング=グラマラス・キャンピング(Glamorous Campingの略)だ。

ひと口にグランピングといっても、アウトドアで活動しながらのテントサファリを思い浮かべる人もいれば、ツリーハウスのように森林の中のユニークな滞在体験だと考える人などさまざまだろう。誰もが自然を楽しめるグランピングを考えてつくられた、日本初のグランピングリゾートということで、話題を呼ぶ星野リゾート「星のや富士」を訪れた。

富士急行・河口湖駅からタクシーで約18分、施設の入り口は、敷地のはるか裾だが、ここで車をいったん降りる。レセプションの壁には色とりどりのオブジェのようにいくつものリュックサックが掛かっている。この中から好きなものを1つ選び、エリアマップ、オリジナルのウォーターボトル、クッション、ダウンブランケット、双眼鏡、ヘッドランプに森のおやつを入れてもらう。その後、専用のジープに乗り換えて、緑深い敷地を進むところからグランピングの旅が始まる。

森の入り口のような待ち合いで車を降りると、丘陵地に張り出すように見えるモダンな建物が宿泊用のキャビンだ。風が通る心地よいベッドルームに眺望が楽しめるバスルーム、夜になると火が灯り、ごろりと横になれる広いテラス。シンプルなスペースは、快適に自然を感じながらゆったりとした贅沢な時間を過ごすことができる。

ここから、フロントとダイニングの入る建物を経て、クラウドテラスと名づけられたアウトドアの世界へ入っていくことができる。クラウドテラス内には、自然の中に置かれたロッキングチェアが気持ちのいい木漏れ日デッキ、アウトドアでの食事が楽しめるクラウドキッチン、そして一番上に焚き火ラウンジとライブラリーカフェのあるエリアがあり、それぞれが階段でつながっている。森を見上げると、緑の深さがよく分かる。

アウトドア体験を助けてくれるのがグランピングマスター。薪割りや焚き火の楽しみ方、バードコールの使い方などのほか、自然の中でのアクティビティのインストラクターを務める。森の中での燻製づくりをグランピングマスターに習う。ウォルナッツとウィスキー白州の樽をチップにしたもので、川魚の忍野サーモンやチーズ、ナッツそして味噌や塩を燻(いぶ)してみる。燻製は「意外と簡単」と知ること自体が新鮮。チップによる味の差を試したり、味噌がものすごく深みのある味になったりすることなど、野外での楽しい体験だ。(中学生以上1人3000円、税・サービス料10%別)

午後のひと時、クラウドテラスにはマシュマロやフルーツ、ダッチオーブンで焼かれたワッフルなどのスイーツが用意され、串にさして焚き火であぶったり、思い思いの時間を過ごせる。焚き火の周りでは、日が落ちればバーが開かれ、映画や演奏会も催される。ゆらめく炎を囲んでの語らいは、アウトドアならでは。

グランピングのひとつのポイントともいえるのが、アウトドアスタイルの料理。「星のや富士」ではダイニングで食事をすることもできるが、森の中のクラウドキッチンで専属のシェフについてもらい、アウトドアディナーを楽しむこともできる。オマール海老や骨つきラム肉はダッチオーブンを使って、ゲストも一緒になって豪勢に仕上げる。星空のもとでのディナーのおいしさは格別だ。ダッチオーブンは、朝も大活躍で、ふかふかのパンもこれで焼ける。

森の中で木の香りに包まれてゆっくり過ごすのもいいが、朝から木立の中で無料で行われる珍しい空中ストレッチに参加したり、施設すぐの河口湖で早朝カヌー(6歳以上1人3500円、税別)を楽しんだり、アクティブに過ごすこともできる。また近隣で、乗馬や樹海のネイチャーツアーといったプログラムも用意されている。

グランピングという言葉にはキャンプが入っているが、ここはキャンプテントを張って自炊をしてというものではない。野外活動の経験がなくても、緑濃い森の中で焚き火を囲んで過ごし、雨であればキャビンのテラスで外を感じながら過ごし、子連れでもアウトドアを満喫しやすい。「星のや富士」でのグランピング……はたと、これは“アウトドアのおもてなし”だと感じたのだった。

星のや富士
http://hoshinoyafuji.com

小野アムスデン道子(おのアムスデンみちこ)

ロンリープラネット日本語版の立ち上げから編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。日本旅行作家協会会員。

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