Living with photography - 写真のある暮らし

アルザスと佐賀をつなぐ口福な味覚の旅への誘い。
マンステールと七田の最高のペアリング

ナチュラルチーズには、フレッシュタイプ、白カビタイプ、青カビタイプ、セミハード&ハードタイプ、シェーブルタイプとさまざまな種類がありますが、なかでも通好みといえるのがウォッシュタイプのチーズではないでしょうか。その名の通り、チーズの表面を塩水やお酒で洗って熟成させたチーズで、強い香りが特徴。ちょっと癖のある香りはナチュラルチーズ初心者をひるませることも。しかしながらマイルドな味わいのものも多く、一度好きになると病みつきになってしまうチーズといえるでしょう。

今回ご紹介するのはフランスを代表するウォッシュチーズのひとつ、マンステール。アルザスの人々にとっては欠かせない日常のチーズです。ラズベリージャムなどと合わせて朝食に、あるいはスパイスのクミンシードをかけて酸味のあるライ麦パンと合わせるなど、現地ではあらゆるシーンのテーブルに登場しますが、マンステールでつくるアルザスの名物料理、タルトフランベのおいしさは絶品です。

さて、マンステールにゲヴュルツトラミネール リースリングといったアルザスの誇るワインが合わないわけはないのですが、私が自信をもっておすすめしたいペアリングドリンクは日本酒。そう、私の日本での最も大きな発見、ナチュラルチーズと日本酒の組み合わせの素晴らしさをご紹介せずにはいられません。特にウォッシュタイプやブルーチーズ、熟成の進んだハードタイプのチーズと、それらにふさわしい日本酒を組み合わせると、双方の「旨み」が口の中で溶け込んでお互いのおいしさを最高に引き立てます。

マンステールと相性抜群なのは辛口の純米酒。なかでも私が4年前に出合った佐賀の銘酒、七田(しちだ)との相性は素晴らしい。フルーティな酸味と同時に、口に含むとトロッとした甘みを感じる七田の純米酒には、もしかしたらアルザスの白ワインとの共通点があるのかもしれません。マンステールと合わせるときは七田を少し冷やしてください。アルザスと佐賀。遠く離れた2つの産地をつなぐチーズと日本酒のマリアージュは、口福な味覚の旅に誘ってくれることをお約束します。

[ 写真 ] 熟成したマンステールの表皮は深いオレンジ色。独特の強めの香りだが、中身はクリーミーで上質で芳醇なミルクの香り。伝統のレシピでつくられ熟成用の洞窟で3週間の熟成を経たマンステール オ レ クリュ(200g)¥2,409/フェルミエ www.fermier.co.jp 七田は佐賀県小城市の酒蔵、天山酒造の若き当主、七田謙介氏が立ち上げた限定流通銘柄。米の旨味を最大限に堪能できる日本酒。七田純米無濾過(1800ml) www.tenzan.co.jp (楽天市場などで入手可能)

photography by Miki Mana
text by Toshie Fujino

案内人
ファビアン・ デグレ(Fabien Degoulet)

フランスのル・マン出身。実家はマルシェでチーズ店を営む。2008年、INALCOの日本語専門学校卒業。2008年に来日し、フェルミエに入社。渋谷店勤務、同店店長を経て2014年からフェルミエ商品開発部。2013年6月サントモール ド トゥレーヌ騎士の会 名誉シュヴァリエ。2015年6月モンディアル デュ フロマージュ コンクールで優勝。世界最優秀フロマジェに選ばれる。故郷ロワールのチーズとワインをこよなく愛しながら、日本酒とチーズのペアリングの素晴らしさも発信。


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