第2回 ディーゼル車篇 世界の主流はディーゼルです

いま、ディーゼルエンジンの乗用車が増えています。かつては前東京都知事のデモンストレーションでものすごい悪役にされたディーゼル。排ガス対策をきちんとすれば、燃費がよく(走行距離に対するCO2排出量が少ない)、維持費も安くあがり、注目してほしい乗りものです。

「ディーゼル車はガソリン車に比べて燃費が2~3割優れているため、走行時のCO2排出量を削減し地球温暖化対策に貢献できます。仮に、日本で走行する車の1割がディーゼル車になった場合、年間約200万tのCO2排出量を削減することができると言われています」

ホームページでそう説明するのは、ディーゼルエンジンに力を入れているマツダです。2015年初めの発売以来ベストセラーになっているCX-3というクルマには、ディーゼルエンジンしか設定がないほど。アクセルペダルをそこまで強く踏んでいなくても、ぐいぐいと加速するうえに、高速ではガソリンエンジン車よりエンジンの回転数が低く抑えられるので静粛性も高いのです。

欧州では、1960年頃からディーゼルエンジンが普及しています。そもそも第二次世界大戦時にディーゼルエンジンの技術は進み、それが民間に"下りて"きたのです。といっても少し前まで、ディーゼルエンジンは力はあるけれど、ガソリンに比べて伸びが悪く、日本のように信号だらけの道に向いているとは言いにくいものでした。それが2000年代に一気に技術が進み、もはや、乗っていても、"これはガソリンだろうか、ディーゼルだろうか"とわからなくなるほどです。

もうひとつの魅力は維持費です。ディーゼルエンジンは軽油で走ります。トラックやダンプなどが多く使う燃料なので、政府が税金を調節していて、いまはガソリンより価格が低く設定されています。そのため給油スタンドによっては、プレミアムガソリンと比較すると40円近い価格差というところもあるほどです。

BMW218dアクティブ ツアラー(左・353万円〜)と、7人乗りの同グラン ツアラー(379万円〜)
メルセデスベンツE220 BlueTEC(687万円)は2.1リッターディーゼル搭載で、ワゴンもあり

「燃費がよくて価格も低いから、ガソリンエンジンより多少高くても元がとれるユーザーの方もけっこういるはずです」。先ごろ、一挙に5車種にクリーンディーゼルを搭載した、ボルボ・カー・ジャパンでは、そうメリットを説明してくれます。

ボルボでは、同等のパワーを持つガソリン車と比較するとディーゼル車は25万円髙。しかも、クリーンディーゼル乗用車と認定されれば、自動車取得税、自動車重量税の免税や、クリーンディーゼル自動車導入費補助金などがあるので、25万円からさらに圧縮されるのです。さらに、ガソリン車に比べて圧倒的な低燃費を実現しているので、維持費を計算すると、その差額は最小限に抑えられそうです。

燃費がいい、というとハイブリッドとか軽自動車とかがすぐ思い浮かびますが、昔からの技術に磨きをかけているディーゼルは、とりわけ大きなクルマでは使い勝手のよさで注目に値するのです。日本ではマツダが、さきに触れたCX-3やCX-5といった小型SUVと、コンパクトサイズのデミオから大型のアテンザまで、ほぼフルラインナップ。輸入車では、BMWが熱心で、メルセデスベンツがそれに続きます。アウディやフォルクスワーゲンも、各ジャパン社で2016年にディーゼル車を販売するとしています。

スウェーデンでは、ディーゼルの歴史が長いボルボが幅広く展開。まもなく、英国のジャガーが新型セダン、XEのディーゼルエンジン車を発売します。また、フランスではプジョーとシトロエンもディーゼルエンジン車導入を検討中。このように、ディーゼル旋風が日本でも巻き起こりそうです。

小川フミオ

自動車とカルチャーを融合させた『NAVI』(二玄社)、日本で最も歴史ある自動車誌『モーターマガジン』(モーターマガジン社)、『アリガット』(IMAGICAパブリッシング)の編集長を経て、2004年よりフリーランス。著者に『カルロス・ゴーンへの警鐘』(02年刊、阪急コミュニケーションズ)、『ひとりで行ける上質ごはん』(東京書籍)他、多数。