バスルームというリトリート

人間は、水とともに生きている。家の中にいてもそう感じるのは、夏はシャワーで爽快な気分になれる一方、冬はお湯をためたバスタブに浸かると至福の時を味わえるからです。

昨今は、ホテルがバスルームの広さを競う傾向にあります。大きなセリングポイントになっているようです。しかし僕の経験からいうと、ホテルのバスルームより家庭のほうが気分がいいといえます。大きな理由は、ホテルではバスタブに入ると、シンクの裏側とか、バスルームの舞台裏が目に入りがちだからです。なかなか改善されないポイントです。

なので、家庭のバスルームは、居心地のよさからいって、ホテルにひけを取りません。それ以上といってもいいかもしれません。しかも僕は最近、鬼に金棒ともいえる、素晴らしいバスソルトを見つけました。それは、英国バンフォードの「ボタニックバスソルト」。ものすごく身体が温まります。

現在「最強」と信じるバンフォードのボタニックバスソルト(250g、5000円+税)
https://purity.co.jp/bamford/

バンフォードは2006年に、イングランドはコッツウォルズで、レディ・キャロル・バンフォードがつくったオーガニックスパが原点といいます。そこから派生的に「バス&ボディ」「ベビー」「キャンドル」と、さまざまな製品が送り出されています。

僕が知っている、レディ・バンフォードの仕事といえば、やはりコッツウォルズに四半世紀前にオープンした「デイルズフォード・オーガニック」です。オーガニックフードの店で、ここには何度も足を運んでいます。レディ・バンフォードが同店を開いた理由は、化学肥料などから子どもたちを守りたいという思いだったとか。

僕はデイルズフォードに行ったらテラスで食事をするのも好きだし、肉もワインもチーズも豊富にそろう店内をぶらぶら歩き回るのも好きです。ここがいわゆるデスティネーションショップで、遠くからドライブしてやってくる客が多いというのにも納得します。

そういうわけで、同じ創始者というバンフォードの製品に、僕は親近感を持っています。ボタニックバスソルトは、天然ミネラルが豊富な英国産エプソムソルトと、大西洋のシーソルト、それにオーガニック植物の香りがブレンドされているそうです。家人によると、「バスソルトはいろいろ試したけれど、こんなに温まって気分がいいのは初めて」とのことで、やはりベタぼめです。

リトリート(隠れ家)という言葉を、最近目にします。都市ホテルでも、疲れたときに癒やしを提供する施設を備えて「リトリート」になりうることを宣伝しています。でも家庭内には、バスルームというすばらしいリトリートがあるではないですか。ここをさらに居心地よくするのに、バスソルトは最強の味方かもしれません。

小川フミオ

自動車とカルチャーを融合させた『NAVI』(二玄社)、日本で最も歴史ある自動車誌『モーターマガジン』(モーターマガジン社)、『アリガット』(IMAGICAパブリッシング)の編集長を経て、2004年よりフリーランス。著者に『カルロス・ゴーンへの警鐘』(02年刊、阪急コミュニケーションズ)、『ひとりで行ける上質ごはん』(東京書籍)他、多数。