ホテルの部屋でくつろぎたい

家族旅行も出張も、ホテルでの宿泊がつきものです。いいホテル(や旅館)を選んで、泊まること自体が目的となる旅もあります。でも通常は、ホテルは仮のすまい。快適に過ごすには、工夫が必要なことも。

出張のときは、部屋で仕事をすることが多いので、デスクの大きさや通信環境が重要です。デスクまわりに電源が多いと、いいホテルだなあと思うほどです。また、椅子の座り心地は、必ず記憶しておきます。たいていのホテルが壊れない頑丈な椅子なので、動かすのが重く、立ったり座ったりもスムーズにはいきません。しょせん、といってはなんですが、ホテルはオフィスではないのです。同じことは、快適性にもいえます。

出張のとき必ず持ち歩くのは、自分の好きな音源が入ったスマートフォンと、本。空き時間に読みたい本を何冊かカバンに入れていくこともありますが、最近はKindleだけ、なんてときも。飛行機の離着陸時にも電子デバイスが使えるように規則が改正されたので、さらに環境が改善しました。ホテルの部屋にスマートフォン用のプレーヤーが置いてあることも多くなりました。携帯用のアンプ付きスピーカーもいろいろ発売されているので、カバンにスペースがあれば持っていってもいいでしょう。

身につけるものも大事です。まずは室内履き。いいホテルにはクオリティの高い室内履きが備えてありますが、なかには使い回しのところも。やはり自前のものは、気分よく過ごせます。できれば、かかとがちゃんとあって、履き心地のいいものを持っていくと重宝します。

リラックスできる服装も、ホテルでの生活を気分よくしてくれます。いきなり宅配便が来ないのもホテルのいいところなので、ゆったりした格好でくつろぐことができます。ただし個人的には、仕事をするときはパジャマではどうも気分が乗らないので、シャツを着てスラックスをはいてデスクに向かっていますが……。

香りを持っていくのが好きというひともいます。瓶にスティックをさすタイプ(100ccを超えなければ機内にも持ち込めます)、スプレータイプ、さらに電動タイプなどいろんなディフューザーが販売されています。ただしホテルで禁煙ルームでないときは、匂い消しが使ってあるので、その香りとかさなって快のはずが不快になってしまうことも。

ホテルの場合、部屋の中心がベッドです。だから、あえてベッドの上で快適に過ごすことを心がけると、ホテルでの生活をひと味違ったものになります。たとえば、ルームサービスによる食事。宅配ピザよりもメニューが多く、ひとりでもふたりでも、好きなお酒も頼んで音楽を聴きながら、ベッドの上で食事を頬張るとホテルでの仮暮らしもたまにはいいなと思えてきます。ベッドでの朝食もまた、よしです。海外にはブレックファスト・イン・ベッドというテーマのレシピ集もあるぐらいで、ぜいたくのひとつといってもいいでしょうか。

家の最大のよさは快適性です。ホテルの部屋でも第二の家ともいえるような、ひと味ちがった快適性をいかにつくれるか……。旅がよりよいものになるはずです。

小川フミオ

自動車とカルチャーを融合させた『NAVI』(二玄社)、日本で最も歴史ある自動車誌『モーターマガジン』(モーターマガジン社)、『アリガット』(IMAGICAパブリッシング)の編集長を経て、2004年よりフリーランス。著者に『カルロス・ゴーンへの警鐘』(02年刊、阪急コミュニケーションズ)、『ひとりで行ける上質ごはん』(東京書籍)他、多数。