足にもベストパートナーが必要

靴は不思議です。履くと、その瞬間、気持ちが引き締まります。いっぽう、帰宅して脱いだときの解放感はなににも代えがたいものです。裸足がいちばん気持ちいいのかもしれません。でもじつは、室内履きも大事なのです。

なぜかというと、床が硬いとき、私たちの足はクッションを必要とするからです。外で履く靴の役割と同じで、筋肉や関節への衝撃をやわらげ、同時に足の裏にかく汗を吸いとってくれる働きを、室内履きに期待するのです。

そこで課題は、なにを履くかです。一般的にはスリッパです。私もスリッパ派ですが、スリッパはさまざま試しました。なかには、北イタリアにある室内履き専門店で注文したものもあります。試し履きのときは、一流の靴専門店のように、ふかふかのじゅうたんが敷かれたところで、革張りのソファに腰掛けて、あれでもないこれでもないと、お店の係の人と話し合って決めていくのです。

この専門店で買った室内履き(ソールがついたスリッパというかんじです)の履き心地はかなりのものでしたが、夏には履く気がしないという問題がありました。そんななかで、僕が巡り合ったのは、オーストリアの「キッツ・ピヒラー」のものでした。

キッツ・ピヒラーのルームシューズ
赤(女性用) ¥4,860(税込)、グレー(男性用)¥5,184(税込)
松屋銀座 7階タオル売場 03-3567-1211(大代表)

最初に買ったのは、出張で出かけたドイツのフランクフルト・アム・マインにあるデパートで。そのあと、日本でも銀座松屋で扱っていることがわかり、何度買い換えたことか。10年以上は愛用しています。

この室内履きの特徴は、ウールを使っていること。セーターのように、新品を買って足を入れた瞬間はややきつめですが、すぐに足にフィットした大きさまで、適度に"伸びて"くれます。さらに、私をとりこにした理由は、ソールのクッション性です。薄いのですが、床を歩くときの快適さといったら......。

靴好きの男性と話すとき、私は米国のオールデンというメーカーの革靴を引き合いに出します。ここも、クッション性にすぐれた靴でよく知られたメーカーだからです。女性には、スポーツシューズのようなものといえば、わかっていただけるでしょうか。

いったい、キッツ・ピヒラーのソールはどういう構造になっているのか。そこまで追究したことはありませんが、靴づくりの伝統といったものなのでしょうか。木の床でもタイルでも石でも、この室内履きなら足が疲れることはありません。

もうひとつ、愛用している理由があります。一年中履けるのです。ウール素材なので冬季仕様かと一見おもいますが、通気性がいいからでしょうか、Tシャツ一枚で過ごす真夏でも、この室内履きは快適です。驚くべきことです。もちろん、冬はあったかです。

そういうわけで、わが家はずっと、このブランドのプロダクトのお世話になっています。靴を脱ぐとほっとすると書きましたが、そのあと、キッツ・ピヒラーに足を滑り込ませると、またひとつ、ほっとするのです。屋根の下の生活の、とても大切なパートナーです。

Good Companions to Foot

足裏健康法的部屋履き
足は第2の心臓といわれますが、ツボを刺激するといいとか、刺激しすぎないほうがいいとか、健康法には諸説あって、考えさせられます。

ムートン部屋履き
寒い日の温かいベッドというかんじで、白いもこもこのライニング(中張り)のなかに足を滑り込ませたくなります。

中東ふう部屋履き
街の雑貨店などで手に入る、革製の室内履きです。トルコから北アフリカまで、部屋の中で異国情緒が味わえます。

キャラクター部屋履き
部屋で楽しく過ごしたいという発想の転換がすばらしい。好きなキャラクターが、つねに一緒にいてくれます。履くぬいぐるみ。

小川フミオ

自動車とカルチャーを融合させた『NAVI』(二玄社)、日本で最も歴史ある自動車誌『モーターマガジン』(モーターマガジン社)、『アリガット』(IMAGICAパブリッシング)の編集長を経て、2004年よりフリーランス。著者に『カルロス・ゴーンへの警鐘』(02年刊、阪急コミュニケーションズ)、『ひとりで行ける上質ごはん』(東京書籍)他、多数。