クルマをめぐる冒険

僕は、フリーランスのジャーナリストとして、クルマ、グルメ、ホテル、家具など、いろいろな分野をまたいで仕事をしています。こういうひとは少ないらしいですが、よく考えると、どれも家と関係するものばかり。そこでここでは、家族を中心としたモノのある生活について書いていきます。

家と同じく家族の中心にあるものといえばクルマ。だからこそというべきか、クルマを買うとき、ひと悶着あるのは、きっとどこの家庭でも同じでは?

第2回のテーマはクルマ。僕は散歩のとき、通りに並ぶ家の駐車場にとめられているクルマを見るのが好きです。ミニバンが置かれていると家族を大切にしているんだなとか、しゃれた家に北欧のボルボとかだと生活スタイルを確立しているお宅なのだな、とか。家とクルマの組み合わせで、会ったこともないその家の住人の顔が見えてくるような気がするのです。

メルセデス・ベンツのGLAクラスはスポーティかつ質感・快適性に優れたインテリアが特徴だ。

妻か夫か、どちらか知らないけれど、やたらマニアックな趣味の持ち主が選んだと思わせるクルマが駐車場にとめてあるときは、それはそれで興味を引かれます。部屋はどんなインテリアだろうとか、思わず呼び鈴を鳴らしてのぞかせてくださいと言いたくなるほどです。

とかく、クルマ選びはどの家族にとっても、楽しい一方で、やっかいでは?夫婦(時としてお子さんたち)の意見は往々にして噛み合いません。昔から憧れていたちょっと古いクルマを買おうと夫が思っても、妻にはポンコツにしか見えないなんてことは往々にしてあります。

僕は仕事がら、新車に試乗する機会に恵まれています。そのなかで、これは次に買ってもいいかも、と思えるモデルに時々出合います。しかしそのあと、家庭内での話し合いはけっこう大変です。機能かスタイルか、合理性かブランドか。クルマ選びは相反する要素の折り合いをどうつけるか、そんな基本の部分で妻と意見が合致しないことがあるからです。

ショールームでトヨタ・ノアを試乗してみました。スペース効率が抜群です。

わが家の場合、ミニバンかちょっと快適志向のステーションワゴンか、というテーマが繰り返し話し合いのテーマになります。ほかにも、夫がこっそり持っているスポーツカーを売っぱらうというのも、妻の好きなテーマです。

きっとどこの家でも同じような、ちょっとした闘いがあるかもしれません。そして、駐車場に置かれたクルマは、おそらくその家の家族が折り合いをつけた結果であり、やや極論すれば、家族が一体になって人生に立ち向かう姿勢の、まさに象徴といえるかもしれません。クルマが好きなひとは、"このクルマを選んだということは、こんなおうちなのかな"と思いをめぐらすのを、散歩の楽しみにしてはどうでしょうか。

インテリアの居心地がいい5台のクルマ

1 スペース効率抜群 トヨタ・ノア
2列目シートには横スライド機構、3列目にはワンタッチで折りたためる機構を採用。力強く走り、取り回しのよさは抜群。2,242,285円〜(メーカー希望小売価格、税込み)

2 ドイツ式高品質 フォルクスワーゲン・シャラン
床下格納式の3列目シートを備えた7人乗り。1.4リッターエンジンは燃費の走りのよさをバランス。¥3,999,000〜

3 SUV未満の使い勝手のよさ メルセデス・ベンツGLA
リーズナブルな価格のメルセデス。四駆ほど背か高くなく町中でも使いやすい。走りもしっかりと全方位型。

4 注目のニューモデル BMW2シリーズ アクティブ・ツアラー
1.5リッター3気筒エンジン搭載の前輪駆動ミニバン。シートアレンジも多彩で使い勝手がよさそう。2014年発売予定(価格未定)。

5 ディーゼルは高級だ マツダCX-5 XD
アクセラもいいが家族ならこちら。力強く静かなディーゼルエンジンで好燃費。マツダのイメージは急上昇中。¥2,678,4000〜(メーカー希望小売価格、税込み)

小川フミオ

自動車とカルチャーを融合させた『NAVI』(二玄社)、日本で最も歴史ある自動車誌『モーターマガジン』(モーターマガジン社)、『アリガット』(IMAGICAパブリッシング)の編集長を経て、2004年よりフリーランス。著者に『カルロス・ゴーンへの警鐘』(02年刊、阪急コミュニケーションズ)、『ひとりで行ける上質ごはん』(東京書籍)他、多数。