ウイスキーを通して飲むのは、
日本ならではの「自然」と「時間」

住吉「ところで、日本のウイスキーって、世界ではどんな評価を受けているんですか?」

輿水「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジというコンペティション(通称ISC)があって、そのISCは唯一、審査員が現役のマスターブレンダーたちです。ブラインドテイスティングをして、お互いの製品を評価します。世界の名だたるブレンダーからの評価ですので、とても重みがあるのですが、日本のウイスキーは近年高く評価されています」

住吉「それで、世界のウイスキーファンにも人気に?」

輿水「そうですね。10年前くらいから、ものすごく注目されてきました。シングルモルトには世界のウイスキーファンからの関心が高く、伝統的なスコットランドのシングルモルトとは違う日本のシングルモルトは目当たらしい存在でした。最初は物珍しさだけだったと思いますが、最近は品質が高く評価されているのを感じます。飲んでみると、確かにスコットランドとは違った世界がそこにあった、と」

住吉「スコットランドとは違う、日本ならではの世界とは?」

輿水「製法はスコットランドと同じですが、ひとつは水が違う。そして恵まれた部分だと思うんですけど、自然環境が非常にいい。日本には四季があり、気温が変化します。また、森に囲まれており、ウイスキーにとって欠かせない豊かな緑がある」

住吉「森があると、なぜいいんですか?」

輿水「ウイスキーづくりには適度な湿度が欠かせません。湿度を維持してくれるのは、間違いなく、森の存在なんです」

住吉「貯蔵庫で湿度管理すればいいものを、現代においても、森があるかどうかって関係するんですか?」

輿水「貯蔵庫は、温度も湿度もなにもコントロールしていないんです」

住吉「え!」

輿水「それはスコットランドも一緒です。だから年間を通して、その土地の温度・湿度がそのまま品質になっているんです」

住吉「それはすごい。ウイスキーづくりがブラックボックスであるゆえんは、自然に任せる部分が大きいというのもあるんですね。まさに、自然とは人間にとってブラックボックスだから。四季の移り変わりも質に関わってくるんですか?」

輿水「僕はそう思っています。それだけでも、日本でつくる意味があるのではないかと」

住吉「面白いですね。ウイスキーを通して、日本の自然を飲んでいるみたい」

輿水「自然と時間とですね」

住吉「時間もかぁ……ロマンがありますね」

輿水「それと同じくらい僕が意味があると思うのは、日本人のウイスキーの飲み方です」

住吉「どういうことですか?」

輿水「基本的に、ウイスキーは食後酒なんですが、日本だけが『水割り』という独特な飲み方を編み出し、食事をしながら飲むという他のどこの国にもない飲み方をしているんです」

住吉「すると、水割りに合わせたブレンディングもするということですか?」

輿水「日本のブレンダーは、当然そこを意識しているでしょうね。その結果、非常にデリケートで複雑で、バランスもいい日本独自のテイストが育まれているんです。人と自然、そして、日本人のものづくりが日本のウイスキーを生んでいる」

オンリーワンの存在として認められた
ジャパニーズウイスキーの魅力
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